作品紹介
作・絵 | シェル・シルヴァスタイン |
訳 | 村上春樹 |
出版社 | あすなろ書房 |
価格 | 1,540円 |
あらすじ
あるところに、ひとりの少年と一本のりんごの木がいました。少年は木のことが大好きで、毎日木に登ったり、枝で遊んだり、木陰で昼寝をしたりして過ごしていました。木もまた少年のことをとても愛していて、少年と一緒にいると幸せでした。
しかし少年は成長するにつれて木のもとを訪れることが少なくなり、やがて何かを求めて木のもとに戻ってくるようになります。
- お金が欲しいと言えば、木は自分の実(りんご)を与えます。
- 家が欲しいと言えば、自分の枝を与えます。
- 船が欲しいと言えば、自分の幹を与えます。
そのたびに木は自分の一部を与え、少年(やがて老人)は去っていきます。
最後に年老いた男が帰ってきたとき、木にはもう何も残っていません。ただの切り株になっていました。しかし男はもう何も必要とせず、ただ座る場所を求めていました。木は「切り株なら、座るのにちょうどいい」と言い、男はそこに腰かけます。
そして、木は幸せでした。
この物語は、無償の愛、与えることの喜び、そして人間の欲望と成長に伴う変化を静かに描いており、大人にも深い感動を与える絵本として世界中で読み継がれています。
レビューとおすすめポイント
読む時の自分の立場や状況によって、こんなにも受け取る印象が変わる絵本はなかなかないです。そういう意味では唯一無二の絵本であり、ロングセラーなのも納得です。
何を犠牲にしてでも、相手に幸せになってほしい。相手の幸せのためなら自分の全てをあげる。相手を待っている間は苦しくて、悲しいけど、最後には必ずその想いは報われて、自分のもとに帰ってくるよ。間違ってない。愛ってそういうものだよね。
そう受け取れる時もあるでしょう。
自分が与える側とか、報われない友達の恋愛を見ている状況とかなら少年の身勝手さに腹が立つ時もあるでしょう。
どんなに想い合っているふたりでも、それぞれの人生を歩んでいけば、離れる時間もあります。それでも大好きな木を忘れないで人生の節目に必ず会いに来る少年。それもまた愛だなと思うんです。
木の気持ちに共感するのか、少年側の目線で読むのか、きっとこの絵本を手に取るたびに感想が変わる絵本なんですよ。すごい。
私が親友に貰った時は今から5年以上前でした。その時は深い意味も考えられず、とにかく木みたいなおおきな心を持ちたいな、そう思いました。同時に、少年はもっと木にしてあげられることはなかったのかな?なんて思っていました。愛が不平等だと感じたんです。
あれからたくさんの人間関係を経て、今一度じっくり読むと、少年は、ああそれで、その行動でよかったんだなと思うんです。飾らず、気を使うわけでもなく、自分の状況と助けてほしいことを素直に言える木は本当に特別な存在だったんだなぁと。それを木は分かっていて受け止めてた。寂しかったけど、いつも幸せではなかったけど、それで良かったんだなぁ。だってそんな姿を知っているのは木だけだから。特別な存在なんだって感じれるから。
とかかっこよく言ってみたけど、私はやっぱり少年に一言、「いつもありがとう」って言ってほしいなぁ!!!笑
でも木はそんな言葉がなくたって与え続ける。無償の愛ってこういうことなんですかねぇ。
私も木のように、あなたにどんなことがあっても何を犠牲にしても、ずっとそばにいるからねって伝えられる絵本です。
付き合いたての大好きな相手や知り合ってまもない友達よりも、長年連れ添ったパートナーや親友に贈ってほしい一冊だと思いました。
どこで買える?
有名な絵本なので、どの本屋さんにも必ず置いてあります!
ネットだとAmazonや楽天、Yahoo!ショッピング、モノタロウ公式、ヨドバシカメラでも購入できますよ!
大きさは小さくはないけど大きすぎないので持ち運びには困らないと思います!A4のノートぐらい!
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